お誂え訪問着 -仕立上がり-。
白生地やのお誂え訪問着、「広沢の池」 が仕立てあがってきた。私の生まれ育ったところ、変わらない風景を身に纏いたいという願いがこうして形になった。低く丸い山々に見守られるように、未だに多くの支えに恵まれている自分を見つめて 改めて感謝の気持ちを忘れずに こんな私でも何かの役に立てるよう心がけ続けたい。
白っぽく見える地色は 実は鳩羽鼠色(はとばねずみいろ)、グレーがかったベージュ色である。
その色を上品に このひなびた風景を立たせる程度にまで淡くした色である。この色づかいはこの白生地屋の悉皆仕事をさせていただく上で重要な 腕の良い職人さんのセンスと技術が集結したものである。
今回下絵職と友禅職を少し離れた位置にいらっしゃる方々に御願いしたので、「下絵を置く時から色を思い描く」という友禅方では少しばかり色挿しには不便があったかも知れないが、私は大満足である。
山々の広くて深いボカシと さくらやもみじに挿された美しいボカシの対比、ひなびた風景の中に効かせどころが生きている。今の私にはちょっと地味目かも知れないが、この訪問着は実は子供たちの次の晴れの場で活用させるつもりで誂えたのだから それで良いのである。
本当は身に纏った姿を記念に撮りたかったのだけれど 相変わらずこまごまとしたことで落ち着かないのでそれは少し先送りである。この訪問着を通して味わった「自分だけのお誂え」というよろこびを 同じ願いを抱かれている方のおよろこびに生かしていきたい。
ありがとうございました。
近々、費用などをまとめた記事をアップします。
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この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。
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コメント
おめでとうございます!
とうとう完成したんですね!!
画面で拝見してもとっても素敵な訪問着、きっと実物はもっともっと美しいんでしょうね!!!
今度じっくり拝見させてくださいっ!!!!
(興奮のあまり「!」ばっかりの文になってしまいました。)
投稿: どんかみ | 2007/02/27 22:24
とうとう出来上がったのですね!
本当に素敵な訪問着ですね。どんな帯を合わされるのかも楽しみです。ぜひ、いつか着姿をご披露下さいませ。
実は、父方の伯父が京染めの染め元なのですが、実際にどういう風に白生地から着物が出来上がってくるかという事を知らなかったので、訪問着の記事は本当に興味深く拝見させて頂きました。
ブックマークの件ありがとうございました。私のブログも早速リンクして頂いてうれしいです。これからも宜しくお願い致します。
投稿: あや | 2007/02/27 23:02
素晴らしい一枚ですね。
美しく荘厳で華やかでありながら慎み深く、恵子さまの思いの詰まったかけがえのないお着物だと感じられます。
職人さんとの意思疎通が見事に花開いた逸品ですね。
投稿: シマリス | 2007/03/01 08:12
シマリスさん
ありがとうございます。
職方の仕事は見る人が見れば分かっていただけると思いますが、柄行きはオットと職方に下絵を描いていただきました。白生地から始まる工程を間近に追うことができたことも良かったです。
投稿: 白生地や | 2007/03/01 09:21