父とオットがする京都の悉皆(しっかい)-壱-
うちの店は白生地屋であるが、悉皆も受け賜っている。
「悉皆」について私が日々の仕事の中で理解していることは、お買い上げいただいた白生地を ご希望通りのお品物にして差し上げることである。
そしてその仕事は昔ながらの細かい工程を踏み、その工程ごとに職人さんたちの手仕事がある。
ここ京都の白生地屋のまわりには、しっかりと技を持った職人さんたちが居てくれる。
父とオットは受け賜わったお誂え仕事に自分の感覚をプラスして その仕事に合った職人方へと生地を持参しては、お願いする仕事内容を直にお伝えする。
*帯揚げの無地染めなどは工程が少なく、染め色を記載した渋札を付けた白生地を浸け染め方に持参する。染め上がった頃合を見計らって取りに行き、次は手湯のし方が足を運んで下さるので、手湯のし方より帯揚げを受け取れば整理をして、お届けするための荷造りをする。
今、父が力を注いでいるのがひとつのお誂えきものである。
地紋のあるこの着尺をお客様の寸法に墨打ちし絵羽仕立てをした状態で、裾ぼかしと両袖に振り違いでぼかしを入れるので その刺し色のアタリを青花でつけているところである。たまたま別件のぼかし物を持参してくださったぼかし染め方の職人さんに さっそく見当をお伝えしてこの白生地を手渡していた。
この白生地がぼかしを入れたあと、柄をどうするのか父の頭の中で また一枚のきもの作りが動いている。
いつか私は自分のきものを自分で作りたいので、こうしてときどき父とオットの悉皆仕事を見ていきたい。
が、大抵は知らぬ間に物事が運んでいる場合が多いのである。
職方から次の職方まで、直に渡り歩くからである(あ、自転車でね)。
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