店の中。
また新たなお風呂敷や帯揚げの染め出し仕事がひと段落し、午前中にひとつ 絵羽仕立てにするための墨打ち仕事をした。
全体に飛び柄のある染め上がりの三丈物。
柄合わせのポイントは、「後ろ姿」と「上前と上前衽」に出る柄の配置である。
自分で見立てて、母やオットに見てもらう。父が「決まった答えのものやあらへんし ややこしいもんやろぅ」とやんわり労ってくれた。
この父は今、お客様のお誂えきものの悉皆仕事をしている。
たぶん、紋意匠の白生地に 裾の方に「すそぼかし」を入れて 上の方には「ほたるぼかし」を…なんて考えている様子(ひとりごとをしっかり聞いた)。
かかってきた電話では 歌舞伎役者の押隈用の(隈取用の:5月29日訂正)生地を10枚ほど受け賜っている。
先日ある役者さんのお弟子さんが買いに来て下さったお品物は、それまで私たちが軽い目の羽二重と伺ってきたものとは異なり、男物きものの表地に使うようなちりめんの重目と同じほどの重い目の小巾の羽二重であった。そのときのお話によると、演じたあとの汗だくそのままを押隈(隈取)にとるので 汗共よく吸収するほうが「付き」が良いのだそうだ。でも重い生地は地厚になるので 息が苦しいようである。
そして店先ではオットがご来店くださっている若い女性の染め色のご相談相手をしている。オットは 初めて白生地や染め色を決めるお客様にも 見本などを用いてゆっくりとお望みをお伺いしている。せっかくのお誂えのお品物なので、用途や雰囲気など お気に召したものにしていただきたいから 当然といえばそれまでだけれど 仕上がりを手にして お喜びのご連絡をいただけるのがことのほか嬉しいものである。
郵便物ではネクタイ地のご注文のためのサンプルが届き、献上品の反物が桐箱に収まるのを待っている。
私もついつい長い昼休みを過ごしているけれど、早く戻らなきゃ…。
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