男物白山紬のきもの -弐-
お誂えの紋付男物白山紬のきものの仕事である。染抜き紋となる紋糊が置かれたので、生地の染めに指定する色をオットが決めにかかった。
写真は「染匠」というちりめんの生地を用いた色見本帳である。きものの色を決めるときには生地見本は欠かせないが、お客様に直接ご指定いただけない場合はかなりの数にのぼる色の中からお客様の年齢・性別・きものの格などから判断し、染めさせていただいている。
今回は渋めの紺系の色をご所望で、生地が 仕上がりにつやの出る白山紬である。上中央の大きな紺色の布がお客様の方でご用意いただいた色見本生地である。これより渋くということなので数十冊ある中から二冊の色見本帳を選び出し、結局右側下から三番目の紺色に決定した。常より生地の色見本は自然光の元でも色の確認をする。それで野暮ったい色か、明るい色なのか、暗いのか渋いのか軽いのか…表現はいろいろあるが、結局はその色から受けるイメージによってそのきものを着る人がその場での格に合った引き立ち方をする色を決める。三つ紋で身丈がやや短い目なので、袴を着用されての茶道などをされるご様子を思い浮かべた。
余談であるが、ここ二条通り新町辺りには表さん(表千家)の元でお稽古なさる袴姿を見かけるが、何よりオットは長年謡をしているので 白生地屋勤続年数の浅い私などにもイメージがわきやすい。
さて、白山紬の染めはもともと引き染めの技法を用いる。
色が濃いほど色を引く回数が増える…。
三丈七尺ほどもあるキングサイズの白山紬を今日、引き染めに出した。
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