2007/05/06

『子犬のカイ』君の、その後。

飛び石だったこの連休は ゆっくりとご家族とのお時間を過ごされた方もいらっしゃることでしょう。私の連休は わわわーっと過ぎてしまい、今頃にほっとひと息ついています。

実は子供の日を前に、嬉しいニュースが飛び込んできたんです!

昨年出版された 愛犬を家族に持つ身には共感の嵐が吹き巻く清野恵里子さんの著書 『子犬のカイがやって来て』 のあとがきにありますが

英国盲導犬協会五十年の歴史を背景にして、我が国に素晴らしい盲導犬の子孫を残すという、栄誉あるミッションを担ってやってきたワンコである

カイ君、昨年の3月にはすでに 7匹のパピーたちのお父さんになっていたのです(そしてその子たちは恐らくこの5月にも盲導犬になるための訓練を始められるのだとあります)。

嬉しいニュースはまた、この4月にも元気な赤ちゃんが誕生し、なんと去年と合わせて30匹の子供たちの立派なお父さんなんだそうです。その中の お母さん・ラナちゃんと一緒に過ごすかわいい9匹の赤ちゃんたちの様子が拝見できます(2007年4月10日以降)。

本当にかわいい赤ちゃんですね、カイお父さんっ!

061117_09090001061117_09160002061117_09070002

**おめでとうございます**

ほっとひと息入れるために またまた『子犬のカイがやって来て』を手に、「犬に笑い、犬に泣き。」体験してしまいました。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2007/03/01

私の「お誂え訪問着」の締めくくり。

この度のお誂えにお支払いした金額を最後に記載しておく。

これは私のこの生地、この柄、この工程(結局縫い紋も含めてあまりお直しをしていません)での費用であって、柄によってはお高くなったりお安くなったりするものである。特に柄に関しては、同じような絵柄であっても 凝れば凝るほど技術を要し、高価になる。また、凝った柄ほど柄合わせが大変なことから お仕立代が高くなっていくものなのである。

それが現実であり 一体一枚の着物にいくらほど掛かるのか分からない状態では、誰もお誂えなどできないのではないだろうか。そして染め上がりのお品物を沢山見て、最も気に入ったものを選ぶことになる。気に入れば、それはそれで何より良いことである、と私は思うのである。

店の本棚に無造作に並べられている数十冊の上品會の本。美しい装丁は目を引き、いつしか手に取って見るようになっていた。新婚旅行の思い出を込めてオットが作ってくれた訪問着を丸洗いに出したとき、一つひとつの柄から下絵を描いていたオットの姿を思い出しながら、その色合いがこれから年を重ねていくに連れて着にくくなるだろうことを改めて感じた。そして もう一度、今度は私の思いをかたちにした訪問着を作りたい、と思ったのである。
上品會の本を見て 自分の好みの「雰囲気」を持っていた私は、まず価格設定から入った。
京都の、職人さんたちの手仕事でのその価格を、およそ50万円とした。価格にあわせて好みの柄を オットや職人さんと相談しながら進めていった。その結果である。

・生地 浜ちりめん 高砂七号四丈物 一反 ¥30,000
・絵羽仕立 ¥4,000
・下絵   ¥50,000
・糊置き  ¥30,000
・友禅   ¥330,000
・刺繍紋  ¥15,000
・胴裏地  ¥7,000
・袷訪問着仕立代 ¥30,000
小計 ¥496,000
消費税 ¥24,800
◆合計金額 ¥520,800

以上です(疲れた…)。
これを 各工程ずつお支払いしてきたので、分割払いでした。昨日最後の¥37,000+消費税¥1,850を支払いました。
本当に色んな思いのこもった訪問着になりました。
おわりです。

    ――――――――――――――――――――――
この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007/02/27

お誂え訪問着 -仕立上がり-。

白生地やのお誂え訪問着、「広沢の池」 が仕立てあがってきた。私の生まれ育ったところ、変わらない風景を身に纏いたいという願いがこうして形になった。低く丸い山々に見守られるように、未だに多くの支えに恵まれている自分を見つめて 改めて感謝の気持ちを忘れずに こんな私でも何かの役に立てるよう心がけ続けたい。

07022710702272


白っぽく見える地色は 実は鳩羽鼠色(はとばねずみいろ)、グレーがかったベージュ色である。
その色を上品に このひなびた風景を立たせる程度にまで淡くした色である。この色づかいはこの白生地屋の悉皆仕事をさせていただく上で重要な 腕の良い職人さんのセンスと技術が集結したものである。
今回下絵職と友禅職を少し離れた位置にいらっしゃる方々に御願いしたので、「下絵を置く時から色を思い描く」という友禅方では少しばかり色挿しには不便があったかも知れないが、私は大満足である。
山々の広くて深いボカシと さくらやもみじに挿された美しいボカシの対比、ひなびた風景の中に効かせどころが生きている。今の私にはちょっと地味目かも知れないが、この訪問着は実は子供たちの次の晴れの場で活用させるつもりで誂えたのだから それで良いのである。

本当は身に纏った姿を記念に撮りたかったのだけれど 相変わらずこまごまとしたことで落ち着かないのでそれは少し先送りである。この訪問着を通して味わった「自分だけのお誂え」というよろこびを 同じ願いを抱かれている方のおよろこびに生かしていきたい。

ありがとうございました。
近々、費用などをまとめた記事をアップします。

    ――――――――――――――――――――――
この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007/02/11

訪問着の失敗-刺繍紋-。

その後 私のお誂え訪問着は現在お仕立方で着物に生まれ変わっているところである。

刺繍紋はその仕上がりに満足しないまま お仕立に回した。オットにとっては白生地や(私)の半ば感情入りの刺繍紋への不満を聞くゆとりや時間もなく、私もとりあえず自分の感情は一旦冷ます必要も感じて染め上がった反物を形にするべく先にお仕立方に手渡すことにしたのである。

まぁ、見てください。
07021110702112

左のような見事な刺繍紋をいれてくださる 同じ刺繍方の仕事として、右の私の片喰の刺繍には見るたびに絶句してしまう。

この件で学んだことは 通常の刺繍では紋をグラデーションで表現することは技術的には難しいということである。むしろ細かい柄の方が刺繍の技は生かされ、片喰のようにパーツの少ない柄には単色で入れるべきであった。

前向きな気持ちで萎える心を奮い立たせてこの『訪問着の失敗』を記事にしつつ、良い勉強にはなったと思うも授業料は高くつくのである。何よりこれがお客様からお預かりしたお品物でなくてつくづく良かったと思う。
「紋刺繍がプロ」の刺繍方ではなく、「柄刺繍のプロ」に任せるべき仕事であった。が、その場合のご予算は結構な心積もりを必要とするだろう。
お誂え訪問着。
仕立上がれば 単色にて刺繍のお直しをする。

(以下 2007年2月14日に追記)
    ――――――――――――――――――――――
この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/02/04

浴衣作り。

なかなか進まない刺し子作業。

070204時間をさいてじっくりと取り組めないのがいけない。でも、子供がらみの行事が一つずつ無事に収まってきているので この作業にもそろそろ本腰を入れたいところ。

がんばれ、私。
先は長いけれど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/01/26

浴衣づくりのお道具。

さて、浴衣作り。昨年の作業の大変さもすっかり忘れてしまっているので、制作手順とお道具をおさらいしてみた。

070126まずは糸と針。30番手の白の綿糸を二本取り。針はクロバー株式会社 または みすや針 の もめんぬい針・「つむぎえりしめ」。太過ぎず、長いことが条件である。わざわざ購入するのではなく、お針箱を開ければ針山に 必ず数本は控えている。毎年針供養の際に「智福御針」としていただくお品物なのである(ビニールケースにはクローバのお針が2種と糸通しが入っている)。また、シボ柄作りの波縫いは 指ぬきでは間に合わない。私の場合 長い針が人差し指と中指の付け根・手の平部分に当たるので、そこに皮を当てる。

およそ5mmの針目で25cmの波縫いを これから延々と刺し子する。上前身頃・両袖・上前衽でおよそ1丈9尺3寸。つまり7m33cmである…。波の間隔は適当でバラつきが出る。その時の感覚で進める。

まぁ、気長に楽しくいきましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/01/25

趣味だけど大仕事。

私の仕事上の大切な知人が 例の浴衣 を気に入ってくださって、「白生地やさん、どうぞわたしにも作ってくださいな。」などとおっしゃって、最初は冗談だろうと断り続けていたものの、お目にかかると浴衣のお話しになるのでついに引き受けてしまったのが昨年の10月だったろうか。単純作業でありながら 時間と労力を必要とする大仕事になるが、これは白生地屋としての仕事ではないので、立場上 家族に気を使う。

そろそろ始めようかと数日前から家族にアナウンスをし、どうやら了承を得たようなので(ハハなどは応援さえしてくれた) まずは本日しじらの浴衣地に彼女の寸法を墨打ちし、いよいよ二枚目となる縦絞り柄の浴衣作りが始まった。

0604251『生地は、しじらの浴衣地。経糸:綿100%、緯糸:綿70%・麻30%でシャリ感をもつ。¥3,150/反というのも、私には嬉しいお値段。』とは、昨年と同じ画像とコメント。

今回は父の助言もあり、上前衽にも絞り柄を入れることにした。
さて、彼女の喜ぶ顔を思い浮かべながら 精を出して頑張ろう!根が単純なだけに、わくわくしてきた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/01/20

お客様と私、それぞれの落胆。

まずはわたし。
実は年末よりずっと気落ちしており なかなか浮き上がることの出来なかったことがある。
お誂え訪問着の紋については 家紋の片喰を刺繍で 柿色共うす色のグラデーションを刺繍方にお伝えしたはずであった。特に時間を急いたわけでもなかったが、年末にご連絡をいただいて手にしたそれは 思い描いていた紋ではなく、柿色の濃い色薄色二色に刺し分けられたものであった。
今から思えば ボカシ技法を多く入れた訪問着なので、紋をはっきりと出す意図を刺繍方が気を回してくださったのかも知れないのだが、ハートを三つ寄せたような紋なので 刺繍でぼかすという技を存分に発揮できることも期待していたので、二色に分けられた仕上がりはあまりに違っていたのである。

年明けを待ち、職方が仕事を始める日を待ち、刺し直しをお願いするべく オットに託したが、仕上がりにはまだ暫く日にちはかかりそうである。最近ようやく気持ちが立ち直り、改めてお誂え着物に対する自分の思いの深さを認識した一件であった。

さて、次にお客様。
まだ私が訪問着の落胆を味わう前に 写真付きのメールを頂いた。横浜のHさんである。
私にお客様と接することを教えていただいたこの方が ―失敗をしてしまいました― と、変わり果てた(?)夏物生紬の長襦袢を、見せてくださいました。実際手元で確かめてみると、全体が色ムラになっており ―直るでしょうか― と かなりご心痛の様子が伺われた。お着物の好きな方なので 今更にそのお気持ちが理解できる。
生紬は生糸を完全に精練しない状態のお品物なので お手入れには洗剤などは用いない方が無難であろう。が、クリーニングに出されたということで 詳細は不明であるが 預かったからには私が大切に解かせていただき、現在染め替え方法などを検討中である。

今回こうした「気落ち」を味わい、お申し付けくださる一つひとつの御用に その思いも引き受けるのだということを深く感じるようになった。
どちらも仕上がりがとても楽しみで、この気持ちこそ 仕事を進める上では大切なものなのである。


(以下、2007年2月14日に追記)
    ――――――――――――――――――――――
この記事は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着についての内容を含んでいます。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/12/15

訪問着:染め加工代。

私のお誂え訪問着の染め加工代が出た。

請求書には 『訪問着:ハトバネズミ色』 との記載がある。
なるほど、地色は60歳過ぎても派手にならない色、ということで 打ち合わせの上 決めた色である。地染めだけでは色が入っているのか分からないほどうすい色に感じたが、広くボカシ染めで表現された山の連なりを生かすための配色だといえよう。

請求書の項目は次のとおりである。

広沢の池の柄
 ・ 地染め代(ボカシ抜染)
 ・ 友仙代(バックボカシ染め・友禅)
 ・ 金彩加工代
 ・ 諸経費(蒸しなど)
以上で¥330,000である。
それに5%の消費税が付き、¥346,500。

あと、刺繍紋が上がってくればいよいよお仕立である。

    ――――――――――――――――――――――
この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/12/09

訪問着:刺繍紋をつける。

白生地やの実家の紋は 丸に三つ引きである。が、この紋のついた着物は恐らく一枚も持たない。
すべて母と同じ枝丸桐の女紋を付けている。

0605301_1Furo1オットに最初に作ってもらった訪問着にも この女紋をつけた。そしてこの度のお誂え訪問着には 初めてこの家の紋、片喰を 縫い紋でつけようと思っている。

この着物には下前には背に、上前には胸に紅葉の柄が置かれているので、それとの釣り合いも良くしたい。

私は共濃色にと考えたが、オットは共濃の さらに濃い目の色のグラデーションがおススメのようである。
「折角の縫い紋だし 縫い紋でなければできない仕事の方がいいんじゃない。少し割高かも知れないけれど…。」
などとのたまう。

ご覧の通り片喰はかわいらしい形なので それを生かしたいし…。

よーく考えて 来週刺繍方にお願いすることにする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/12/08

訪問着:染め加工の仕上がり。

お誂え訪問着の染め加工が仕上がってきた。
前回の色挿しののち、糊糸目落としをして 金彩加工が施された。

0612081こちらは上前身頃スソ(つまり上前衽と上前身頃)から脇・後ろ身頃を並べた写真である。実際の広沢の池を模写したものではないが、ゆったりとした山の連なりをひなびた風景と共に一枚のきものに表現したかったのである。私はこの風景と共に これから来るであろう娘達の成長の節目に慶びを重ねて行きたい。

0612082これは後ろスソ部分である。
今後のこともあるので、友禅方に直接 今回の仕事は本当のところしやすかったかどうかをお尋ねしたところ、やはり ある程度は下絵から友禅方にご相談したほうが 最終イメージを作りながら進めて行きやすいということである。今回は(私の)参考書などを提示したので、それは良かったようである。特に木や山が多すぎて どこで華やかさを出そうか かなりご尽力いただいたようである。

  ― なるほど…。

私もこだわりがあり、あまり見かけない訪問着にもしたかったので、下絵も自分達で手がけたのがご苦労をおかけした元であった。
そういえば父とオットが手がけるきもののお誂え仕事は 下絵から友禅方とお客様とのやりとりで進めていくので、その点が今回 通常のお誂えの流れとは異なる。


このお品物には これから紋を入れてから お仕立に出す。
明日は私のまわりにある紋のことに 少し触れてみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/11/27

色挿し。

さて、昨日心にとめた広沢の池の風景がまだ温もりを保つ今日、朝一番に友禅方がうちの店まで足を運んでくださって 色挿しを終えた訪問着を見せてくださった。

061127106112720611273


一つひとつのモチーフにつけた色の濃淡に変化があり、全体にかさのある絵図に仕上がってきた。
生地巾は伸子で張ったために伸びた部分も見られる。模様一つひとつに豆汁が塗られ、白色部分には胡粉を塗り、うすい色から濃い色へと色が挿されてゆく。比較的大きな柄の部分と 小さな部分とでは 使われる刷毛や筆なども異なるのであろう。
この高砂縮緬 七号 という名の浜ちりめん・四丈物は 高品質の良い白生地なので しっかりと生地に色を挿し入れて下さったことと思う。

写真では雰囲気だけでもお伝えできるといいのだが、このもみじの色を特別に気に入ってしまった。これは上前の、顔に一番近い肩に位置するものである。こうなれば早く身にまとってみたいものだが、この先、あれをしてこれをしてこの段階を踏んでそして…。

お仕立に至るまでは まだまだなのである。

    ――――――――――――――――――――――

この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。
ときたまペットのカメや犬たちが姿を見せますが、悪しからず。
ありがとうございます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/10/27

地染め -その弐-。

柄の背景である山のぼかしが入りました!

今日は本当に 拝見した瞬間の感動は言葉では言い表せないほどのもので、しばし見入ってしまった。

061027106102720610273

白生地に 自分のふるさとが描かれてゆく。
しかもこんなにも情感豊かに。
とても幸せな気持ちである。

この前段階では柄の部分に 糊が置いてあったので、山のぼかしに対して柄がくっきりとあらわれている。
そのときのかたい生地ではなく、すでにやわらかい反物にもどってきた。

そしてさらに彩りを増すべく、それぞれの柄に色が挿される。


    ――――――――――――――――――――――

この題材は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着です。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/10/13

地染め -その壱-。

今朝 友禅方が地染めの経過を見せにきてくださった。
新聞紙を挟んだその一反のちりめん生地は、柄位置に合わせてボカシた地色に染まっていた。

061013やや渋めの薄ベージュ色が柄の無い部分から柄(スソ)にかけてぼかしてある。コントラストを付けるために入れた新聞紙に違和感があるが、友禅方はワタシの雰囲気から色の濃度をアレンジしてくださる。スソの方にはまた別色のぼかしがこの後入るという。

帯下などの見えない部分は凝らずに、着姿に重点を置いたこのお誂え訪問着。友禅を挿す部分とそうでないところとの調和を考えて 計算しつくした仕事。

こうして白生地はどんどん姿を変えていく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/10/10

伏せ糊。

今日、伏せ糊を施した訪問着を拝見した。
自分のきものなのに「拝見」というのもおかしなものであるが、やはり職人さんの手仕事ひとつひとつをこうして実際に追うところ、その表現も許されたい。

061010上前身頃スソ、脇に続くところである。
糸目糊(ゴム糊)を置いた上から伏せてあるのが分かるだろうか。
拡大されているが、下の糸目糊の写真から形の特長を見つけて伏せ糊の写真を見ていただければ良いかも知れない。

0610051 0610052 0610053

さて、この後 地染めに入るので、友禅方が地色の色見本生地(!)を持参してくださった。
なんと、わたしが参考までにとお渡ししたきものの写影を元に その色に染まった生地片を見せてくださったのである。きものの誂え手としては素人である私には、そんなところにまで感動するが、色のプロにはそのようなことも失礼なのかも知れない。

その生地片は綸子地であったので、シボのある高砂一号(変わり三越ちりめん)には深みが加わると思われるので、その見本生地を「やや明るめに」とひと言加えてお願いした。
こういう加減で色は限りなく作られていくのである。
それは限りなく 自分の好みの色に出来るということである。

きものの色を決める際に ちょっと気を付けるべき点というのがある。 あまり薄い色だと時間とともに褪せてくるので、タメに良くないのである。このきものは60歳くらいまで着ることを考えているので、淡いベージュなどは避けたほうが無難である。

さて、地色が染まると いよいよ友禅が挿され始める。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/10/05

糸目糊置き。

わたしのお誂え訪問着、である。
下絵が完成して、きものの地色を染める前に 柄に合わせて糊が置かれた。

0610051 0610052 0610053

下絵の線上に同じ太さの糊が置かれている。
下絵の糊を守るために生地面には薄いシートがかけられ、巻かれていた。
ゴム糊で伏せられた線(青色)と下絵の染料(黒っぽい色の線)があるが、下絵の染料の上にはこの後 伏せ糊が置かれる。
山の連なりや木々の並びは’ぼかし’でやわらかい雰囲気を出すので、その部分が地色に染まっては困るのである。

友禅方の職人さんが 伏せ糊前の糸目糊の段階に、わざわざこちらにまで足を運んでくださったけれど、「Yさんには糊を置く箇所はしっかり伝えてありますし…(ご自身でなく、オットが糊置き方までお品物を持って行っても構わない)。」との言葉に、友禅方と糊置方との息合わせを見た気がした。

友禅方のお品物を見る目は、その糸目の施された下絵に きもの全体に配された柄の各箇所に挿す色を秘めていらっしゃるかのように深かった。

お品物を置いて行かれて数時間後、「何かご質問などあれば、と思って…。」と、お電話をくださった。

私のお誂え訪問着。この私的な仕事を、この友禅方にお任せすることを選んでくれたオットと父に感謝したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/09/27

友禅方との打ち合わせ。

下絵が上がってきた私のお誂え訪問着。
昨日友禅方の職人さんが打ち合わせのために 店まで足を運んでくださった。

まず、絵羽に描きあがったこの下絵と参考書と写真をご覧いただく。
私の心のふるさとである広沢の池のこと、地色や私の望む全体の雰囲気をオットが伝えてくれる。

友禅職人さんは、上前のスソ(上前身頃と衽)の柄をじっくり見て、スソ全体を見ておられた。
そして、具体的に友禅を差す部分とボカシを入れる部分、その配分をオットと一緒に考えてくださった。

友禅で色を差す部分には友禅糊が置かれ、柄の輪郭部分には糊糸目が置かれる。
「友禅部分が広いと、かたくなる」というようなことをオットと話されていて、恐らく物理的に生地がかたくなるのだと理解している私。
ぼかしは、全体にやわらかい感じを醸し出すために 随所に必要である。が、それ自体にも メリハリをつけていただけそうである。

友禅方の職人さんとオット、私の中で 一つ一つの柄に対する具体的なイメージが沸いてないのは この私だけかも知れないが、なんだか最高に嬉しい気持ち。
下絵方の名前をお尋ねになったので答えると、ちょっとした経歴やどのようなトコロのお仕事をされているのかなど よくご存知であった。この友禅方も 実はとても良いきものを出されているトコロの…。
だから 以前から私たちの店に足を運んでいただいても 私は奥の間からしか様子を伺ったことがなく、この場はとても緊張した。

この訪問着には背中に一つだけ紋を入れることにしている。
染める前の糊置きの前に、紋糊を置きたい旨を伝えると、
 「このきものには縫い紋なんかの方がよろしいよ。洒落紋になるけど。」
なるほど、堅苦しい感じではなく、ちょっとやわらかい感じの柄行きなので、洒落紋は願ったりのアイデア。
紋を考える楽しみが一つ増えた。

この友禅方がその足で 糊置き方に染めイメージを伝えるために きものと参考書・写真を持って行ってくださった。

糊置きができればまた、見せていただく予定である。
あぁ、楽しみ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/09/23

下絵の完成。

お誂え訪問着の下絵が上がってきた。
どきどきしながら総絵羽仕立のきものを広げる。

オットの描いてくれた下絵の図。
060823

そしてきものに化学青花で描かれた下絵。
0609231 0609232 06092330609234

私には予算があるので、その割には豪華な柄域に感じている。
大きく描かれた山々がゆったりとした流れを作り、上前のスソには満開の桜が華を添える。
下前のスソに渡って柄が入り、前から見ると着姿での柄合わせが配慮されている。

また、掛け衿と上前胸に柄合わせ(あいくち)があり、
着姿からは見えない本衿にも同じように柄が入っている。
仕立の際に融通がきくようにとの配慮だろうか、
見えない部分のこのような職人さんのひと手間にぐっときた。

手の込んだ友禅のお品物は 柄の細かさがその価値を高める。
このお誂え訪問着には、おおらかな山の連なりに対して
葦の群生や広沢の池のさざ波部分に細かさを配分してある。

山はぼかしを入れると思うが、木々は友禅を差してから
加工を考えても良さそうである。
とにかく来週中に友禅方に見せて、いろいろ相談できると思う。

オットの下絵の図は無料であるが、
下絵方ではこの訪問着で¥50,000かかった。
もちろん気に入らなければお直しも可能であるが、別料金となる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/09/14

下絵方にて。

さて、私のお誂え訪問着である。
先週明け、オットが下絵方まで足を運んでくれた。
元絵と写真と参考書(上品会の)、そして総絵羽に仕立てた白生地を持って。

私は絵のセンスなど持ち合わせてはいないので
訪問着の柄はこの下絵方の力量に頼るのである。

訪問着でも 最も晴れがましいのは 上前のスソである。
上前オクミと上前身頃に配される柄が
広沢の池をどのようにアレンジしてくれるのかが楽しみである。

オットに託したのは、小さな池の周りのひなびた田畑と遍照寺山、
そして京都盆地を包み込む丸くて低い山々の取り合わせ。
そこには 春は桜、秋には紅葉とたなびく野焼きのけむり…。
あぁ、いいなぁ。広沢の池…。

参考絵図として示した参考書の作品は どうやら素描(!)であったらしく、素描と友禅とでは映える柄が異なるものだという。
友禅の方がカサが出るというので、柄行きを友禅用に配慮される。
上前の柄が重いと、胸・肩・両袖、全体に重厚になっても着にくいお品物になってしまう。
そのバランスは プロに任せるべきであろう。

060823この元絵の主な変更点は、まず、池を小さく(柄の隠れる下前にかかってしまっている)。細かい山を大きな連なりに、全体に広がる感じにする。松の木を大きくする。などなど。

前身ごろに桜、胸肩あたりには桜と紅葉と山が入るという。
これでこの訪問着は春秋問わず着ることができる。

東海道五十三次などでお馴染みの歌川広重の版画を参考にしたような雰囲気で仕事に掛かってくださっているという。
「広重の版画」の意味を問うたところ、柄にも息を抜くところと詰めるところというものを意識する、ということである。
それは願ったりのことで、私にも予算というものがあるので あまり重厚すぎた訪問着も困るのである。
せいぜい手は抜かず息を抜いていただいて、技巧は次の染め段階にてきっちりした仕事をお願いしたい。
帯下など、隠れる部分には柄は入れず、その分費用を抑えたいものである。

9月20日頃に下絵が上がってくる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/09/04

八掛なしの絵羽仕立。

絵羽仕立の言葉での「絵羽」を簡単にいうと 縫い目にまたがって付けられる和服の模様のことである。
もともとは、絵画的な模様を持った羽織を絵羽織と言い表したものの、対象が広がった言葉である。

060904さて、今回私が誂える訪問着の絵柄を決めるために八掛なしで仮縫い(総絵羽仕立)をしたきものが仕上がってきた。
この状態でオットが絵柄のテーマの写真 (この他数ショットほど)と 雰囲気を伝えるための教科書 と 元絵 を持って下絵方まで走ってくれるのである。

ちょうどお客様から友禅染のお誂え帯を受け賜っている件もあるので、それと一緒に下絵方での仕事が進められそうである。

このご依頼の帯は、きものの柄に合わせたものをご依頼で、オットのデザインを下絵方で生地に仮乗せした状態で お客様にご覧いただく運びとなる。

どのような下絵方での仕事になるか楽しみである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/09/01

九月の初めに。

京都は雨で迎えた九月。
秋らしい、少し肌寒い秋の雨。

060901先日洗いに出していたきものも手元に戻り、オットが作ってくれた20年来のこの訪問着もすっかりキレイになって 嬉しくて仕方がない。
以前しみ落としに出して落ちなかった汚れが多くあり、その時に絶望感を味わっていたのでなおさらである。
このきもの 一枚の再生だけに実は一万円ほどかかったが、仕上がりに大満足である。

――――――――――――――――――――

0609012
心身共に過ごしやすい秋が深まりつつある。
空の高さが心地よい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/08/30

やっと墨打ち。

店から白生地を購入した。
浜ちりめんの七号 A反 四丈物である。
税込みで¥31,500也。
0608301 0608302

墨打ちをするために 自分のきもの寸法を確認しつつ、今回初めて後ろ巾を5分縮めることにした。
今までの標準寸法では身頃が胴回りにまわり過ぎる感じで、着にくかったからである。

いざ糸印をつけよう、というときに
生地を湯のししなければならないことに気付いた。
ちりめん地なので、寸法の狂いを防ぐために
湯のしで生地を伸ばしておくのである。

そして墨打ち、裁断を経てただ今 総絵羽仕立にかかっている。
ところが絵羽方は現在他の上げ絵羽仕事が立て混んでおり、
私の仕立上がりが来週になるという。

ゆっくり楽しみながら作っていこう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/23

元絵。

実際の景観を かなりデフォルメすることになるが
私の意見を元に オットが絵にしてくれた。

060823池周辺の緑と西に広がるひなびた景色。
遠くに連なる低い山々とその重なり。
そして丸い遍照寺山。
それらを取り入れて 元絵ができた。

これは原案であって
実際は これから私の寸法に墨打ちをし、
絵羽仕立をした白生地に 
職人の手で下絵がおかれる。

下絵が決まるまで どれ程の日数を要するのだろう。
悉皆屋と職人さんのやり取りが順調に進むよう、
願うばかり。

今回は風景を訪問着の柄にするということで
むかしながらの標準的なきもの作りができると思う。
自分のきものを誂えることで、
段階ごとの基本を知ることができれば
正直、嬉しいのだけれど…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/22

ただ今思案中…。

自分のイメージを人に伝えることの難しさを実感する。
訪問着の柄も、風景の写真だけでは
「こころのふるさと」を相手には伝わらない。

農地用、あるいは近隣の植木畑用に作られたため池(だと私は思っている)の広沢の池。
その池から引かれた用水路が 子どもの頃に
整備されたときのことを覚えている。
そしてそこに隠れる場所を失い、戸惑うように見えた亀とザリガニのことも。
従姉弟たちと白いセメントの壁に囲まれて流れる水を見ていた。

小倉山は立ち入りが禁止され、
一部は開かれてアスファルトの道になり、
バスの車庫や人の家がずいぶんと多くなった。
あたりはすっかり変わってしまった。

でも、広沢の池とその西側の景観は保たれている。
ここに立つと ほぅっ、とするのである。

あぁ、ほんとうに良いきものにしたいなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/17

わたしの訪問着。 -色と柄-

さて、生地が決まったわたしの訪問着。
着たいきものの色があり、自分の中ではほぼその色を地色に と決めている。
わたしは淡い色の方が 顔写りが良いので
白茶系の薄香の色を基準に やけ易さのことも考えて
ベージュでの濃淡調整をしたい。

柄のテーマは私のだいすきな広沢の池
この写真のほか、数点をもとに下絵方に相談しようと考えている。

柄付けについて ふと父が、
「カタチの良い松なんかがあればなぁ」
と話していたのが気になっている。

盆栽の松などは良いカタチをしていると思うのだけれど
広沢の池に 果たして合うのかどうか…。

しばらく柄のことでいろいろと楽しみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/11

わたしの白生地選び。

さて、わたしのお誂え訪問着用の白生地には何が最適だろう。

丁度 今日墨打ちを手がけたお品物に
一つ紋の色無地にする白生地があった。
全体に 細かい花唐草の地紋が本当に素敵で、
「この柄は良いねぇ~。カサもあるし。…でも、訪問着にはやっぱり柄は無いほうが良いかなぁ?」
と それとなく話題を自分のきものに向けた。

わたしの訪問着は父の悉皆仕事を見て、
是非とも 自分で誂えたくなった経緯を持つのだ。
「そうやねぇ…。」とオット。
 ―となると、お品物は浜ちりめんの高砂だ。

オットが作ってくれた一枚は 細かい吹雪の入った梨地で光沢を持つ。
それが水色系の地色と個性的な柄を実に華やかにまとめられており、私の20代の終わから40代という年頃のきもの姿に 彩りを添えてくれた。

これから着たいきもの、やわらか物には やはり、落ち着きや品の良さに主眼をおきたい。
なので、ちりめん地では最高級の長浜ちりめんしかないのである。
(ちりめんのきもの、と呼ばれる場合は通常 地紋のない無地を示すことが多い。)

店では長浜ちりめんといえば高砂の 一号、七号、そして場合によって三号を取扱う。
七号のしぼが低く、一号がカサがある。
三号は鬼しぼちりめんのようなしぼを持ち、お洒落着っぽくなるのが特長である。

さて、わたしの白生地選びは、浜ちりめんの高砂一号 A反。
そして せっかくのお誂え訪問着を 共八掛にしたいので 四丈物と決めた。

浜ちりめん 高砂一号 四丈 A反  ¥31,500也。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/08

参考書としての『上品會写影』。

今でも上品(じょうぼん)会というものが 某百貨店や大手呉服店では執り行われているらしい。
が、かつては毎年のように呉服の老舗が秀逸な作品を出展し、その作品集をまとめた冊子、「上品會写影」が発刊されていたらしいが、現在ではどうなのだろう。

06080810608082

この中の一冊を手に取り、表紙をめくれば「上品會の由来」に続き 「上品會素旨  龍村平蔵述(昭和二十八年)」、高○屋による「第*回 上品会について」と題した「上品會写影」編集の挨拶のあとに 写真集が組まれている。

振袖に始まり訪問着、留袖の裾模様、紬、帯地と続く各頁には 薄い和紙にお品物の名前と制作にまつわる短文が添えられている。写真の裏はもちろん白紙である。

裏表紙には「装幀裂 歌集唐草について  龍村平蔵」と題した一文が付加され、この冊子の製作が龍村美術織物であることが表記されている。

毎年色を変えられており、古くはなっているものの、並んでいる様も美しい。

かつてはこの本を見て、柄行きなどを勉強しながら 父などはお得意様のご意向に沿った振袖や留袖の悉皆を受け賜っていた。その一部をお手入れなどのご依頼の際に拝見できるのが 何より幸運だと思っている。

さて、まだまだ未熟者であるにもかかわらず、この度自分の訪問着を誂えるに当たって、自分の好きなように悉皆というものをやってみようと思う。イメージはこの『上品會写影』を参考にする。オットや父に相談しながら、そしてオットには職人方を駆け回ってもらわなくてはならない。でも、自分で作るきものは オットに作ってもらったものと同様、恐らく一生大切に着続けるだろう。

柄のテーマは決まっている。
父に相談すると、「まず 写真を撮ってきたらええなぁ。」とのこと。
手持ちの数枚は春のものなので、本当は秋がいいなぁ。
近々オットと出かけることにする♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/07

20年にして。

オットの元に嫁いで、オットから贈られた一枚のきもの。
旅行から帰ってからというもの、
暫くの間 オットの図案作りを見ていた覚えがある。

暫くして上がってきたきものがこの訪問着である。
06080710608072

左前袖に配されたような柄が 
上前裾部分では刺繍や金箔で彩られている。

実家の母が揃えてくれたきものに加え、
この一枚は その後 長女の誕生を機に、
私自身が母親として出席した公の場で よく着用した。

お手入れも義母に教わって自分なりにしていたつもりでも
ここにきてヨゴレも気になるので
丸洗いに出すことにした。

このきものと共にした若い日の多くの思い出を振り返る中、今から重ねてゆく 更に多くの出来事や節目を思うと
その時に着るための訪問着を 自分