« 不思議な女性。 | トップページ | 「シャーロットの贈り物」。 »

2007/01/20

お客様と私、それぞれの落胆。

まずはわたし。
実は年末よりずっと気落ちしており なかなか浮き上がることの出来なかったことがある。
お誂え訪問着の紋については 家紋の片喰を刺繍で 柿色共うす色のグラデーションを刺繍方にお伝えしたはずであった。特に時間を急いたわけでもなかったが、年末にご連絡をいただいて手にしたそれは 思い描いていた紋ではなく、柿色の濃い色薄色二色に刺し分けられたものであった。
今から思えば ボカシ技法を多く入れた訪問着なので、紋をはっきりと出す意図を刺繍方が気を回してくださったのかも知れないのだが、ハートを三つ寄せたような紋なので 刺繍でぼかすという技を存分に発揮できることも期待していたので、二色に分けられた仕上がりはあまりに違っていたのである。

年明けを待ち、職方が仕事を始める日を待ち、刺し直しをお願いするべく オットに託したが、仕上がりにはまだ暫く日にちはかかりそうである。最近ようやく気持ちが立ち直り、改めてお誂え着物に対する自分の思いの深さを認識した一件であった。

さて、次にお客様。
まだ私が訪問着の落胆を味わう前に 写真付きのメールを頂いた。横浜のHさんである。
私にお客様と接することを教えていただいたこの方が ―失敗をしてしまいました― と、変わり果てた(?)夏物生紬の長襦袢を、見せてくださいました。実際手元で確かめてみると、全体が色ムラになっており ―直るでしょうか― と かなりご心痛の様子が伺われた。お着物の好きな方なので 今更にそのお気持ちが理解できる。
生紬は生糸を完全に精練しない状態のお品物なので お手入れには洗剤などは用いない方が無難であろう。が、クリーニングに出されたということで 詳細は不明であるが 預かったからには私が大切に解かせていただき、現在染め替え方法などを検討中である。

今回こうした「気落ち」を味わい、お申し付けくださる一つひとつの御用に その思いも引き受けるのだということを深く感じるようになった。
どちらも仕上がりがとても楽しみで、この気持ちこそ 仕事を進める上では大切なものなのである。


(以下、2007年2月14日に追記)
    ――――――――――――――――――――――
この記事は、白生地や(私)が京都の職人達の手で友禅染で誂える自分で着る訪問着についての内容を含んでいます。一連の流れをご覧になる場合は、カテゴリーから趣味を選んでくださいませ。ありがとうございます。

|

« 不思議な女性。 | トップページ | 「シャーロットの贈り物」。 »

「お仕事なこと。」カテゴリの記事

「趣味」カテゴリの記事

コメント

私の家紋も片喰が入っているので(剣片喰)、気になって読ませて頂きましたが、家紋の縫い紋でもグラデーションでお願いできるのですね。
考えたことがありませんでした。
確かに、全体がぼかしの訪問着だったら、家紋もぼかしの方が上品にまとまりそうですね。

こういう裏話を読ませて頂くと、悉皆をお願いするときには余裕を持って出したいなぁと思います。

投稿: 熊五郎 | 2007/01/21 13:41

家紋を洒落紋として入れることには 人それぞれの感じ方があると思いますが、今回の訪問着には 義母などの意見もあり、決めました。
また、縫い紋だと付け替えが可能ですので、着物のメンテナンス上、融通のきく紋だと思います。ただし、ミシン刺繍ではその点での制限がございます。

熊五郎さんのように 参考程度にもお気に留めていただけますと嬉しく存じます。
ありがとうございます。

投稿: 白生地や | 2007/01/21 17:53

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10547/13593229

この記事へのトラックバック一覧です: お客様と私、それぞれの落胆。:

« 不思議な女性。 | トップページ | 「シャーロットの贈り物」。 »